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ウガンダにおけるメインストリーム学校のSEN児のための人材開発

Asher Bayo(Kyambogo大学講師)

はじめに

ウガンダでは、1950年代初頭に視覚障害児教育が始まった。1954年、最初の盲学校がソロティ県のマデラスクールに設立された。その後、国のあちこちにあるミッション系小学校内の視覚障害児のための(リソース)ユニットがこれに続いた。これらの学校でのユニットには、歩行訓練なども含まれていた。

盲児のための教師のトレーニング

これらの学校の設立によって、視覚障害教育にたずさわる教師のトレーニングが必要になった。そこで、専門養成プログラムが、イガンダ県で開始された。そこは、後に「盲教育教師訓練センター」として知られるようになったところである。このプログラムは、9ヶ月間の免許取得コースとしてスタートした。ここで、教師たちは、視覚障害児の指導法の基本を学んだ。メインストリーム小学校に在籍する視覚障害児は学習上の困難をかかえており、教師トレーニングではこの分野のカリキュラムに力点が置かれ、専門的な技術が教えられた。また、そのカリキュラムには、理科、算数、社会科が含まれ、また、点字、触図の作成、ガイダンスとカウンセリング、歩行訓練技術なども含まれていた。

ウガンダ国立特殊教育研究所(UNISE)は1988年に教育・スポーツ省によって設立された。DANIDAというデンマークの援助機構は、キャムボゴ大学の教師教育研究所(ITEK)で、教員の教育を援助した。これが、ウガンダにおけるSEN児のための人材開発の積極的な戦略の始まりであった。

ウガンダ国立特殊教育研究所(UNISE)の当初の設立目標は、

  • 障害や特別な教育的ニーズのあるすべてのカテゴリーの、リハビリテーション分野や特別なニーズに応じる分野で働く人々や教師のためのセンターを設立することであったが、後に、次に述べるような、目標が付け加わった。
  • ウガンダの特別なニーズ教育(SNE)とリハビリテーションを委託するための建物の収容力を増強する。
  • SNEとリハビリテーション分野における男女均等の人材の質と量を改善する
  • 研修プログラムを維持するための方策を改善する
  • トレーニングプログラムは、「万人のための教育」や「インクルーシブエデュケーション」を強調した1994年のサラマンカ声明で示されたSNEとリハビリーテーションの原理に基づいている。

    特別な教育的ニーズがある学習者の教育対策における大規模な変化の必要性は、1997年1月の「総合的な小学校教育」 の序文において認められている、そこでは、障害児には、無償教育の第一優先権が与えられるべきであると規定している。このおかげで、障害児や学習や発達に対して他の障壁がある者を含め、多くの子どもが学校に行くチャンスを得た。従って、過去においても現在も、UNISEの任務は、この増加する需要を満たすための教師や他の人材の育成である。

    UNISEの専門教育プログラム

    ウガンダでは、特別な教育的ニーズのある児童のための主要な人材開発は、UNISEで行っている。ここには、高度に専門的で、セミナーシステムのもとで運営される多くのコースがあり、以下を扱っている:

    ・ 盲児のためのスポーツに関するワークショップ

    新しいコースがすでに計画されており、近い将来導入されるだろう。それに含まれるものを以下に示す。

    UNISEはまた、初等教育教員養成大学のチューターのために、多くのワークショップをを主催した。これらは、初等教育教員養成に導入されている60時間の特別な教育的ニーズに関する授業を担当するチューターに、そのための知識や理解、技術を身につけさせるために設けられたものである。教育実習生は、メインストリーム学校のSEN児を支援することができるように、SNEに関する基礎知識を与えられた。

    また、他のワークショップは、中等教育の教師が、初等教育を終え中等教育学校に進学してくる学習者のニーズに応じるための準備をするために組織された。これら全ては、特別な教育的ニーズをもつ学習者のための人材開発の戦略であり、万人のためのインクルーシブ教育を発展させるための戦略の極めて重要な部分である。

    ウガンダ国立特殊教育研究所(UNISE)におけるリハビリテーション訓練

    教師の研修プログラムに加えて、障害者、彼らの家族、地域のために、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)の活動を確立する努力もなされている。視覚障害者のための移動とリハビリテーション(MBR)のトレーニングプログラムは、リハビリテーションサービスを強化するために、政府によって構築されてきた。このトレーニングは、地域障害学の発達に由来している。この領域において、教育スポーツ省は、男女平等労働社会発達省や保健省と密接な連携をしている。

    本プログラムの目的は、学生たちが障害者の社会へのインクルージョンをめざす、地域立脚型リハビリテーションの理念と、視覚障害者の移動とリハビリテーションのトレーニングとそのマネージメントを理解できるようにすることである。これらのコースによって、国レベル、県レベル、地域レベルで、実力のあるリハビリテーション職員、行政人、管理者が養成されることが期待される。

    地域障害学プログラムの目的には、以下の内容が含まれている。

    カリキュラムと証明書

    様々なコースのためのカリキュラムがウガンダ特殊教育研究所(UNISE)によって開発された。この開発にあたっては、特別ニーズ教育の領域と特別なニーズ教育に関する国際的な高等研究所に関わる人々が協力した。

    2003年の6月からは、改組されたキャムボゴ大学から、以下において行われるすべてのコースに証明書が授与されるようになる。
  • 教員養成部(ITEK)
  • ウガンダキャムボゴ工科学校(UPK)、
  • ウガンダ国立特殊教育研究所(UNISE)
  • ウガンダ国立特殊教育研究所(UNISE)の課程への入学

  • UNISEのどの課程も入学必要条件を明記している。
  • 全ての適切な資質のあるウガンダ人および非ウガンダ人は,UNISEへの出願資格を有する。
  • 各課程は,政府および個人の助成を受けている。しかしながら,政府からの助成はウガンダ人だけが利用できるものである。
  • 全ての出願者は,障害者を含めて平等に入学の機会が与えられる。
  • UNISEの課程の申し込み方法

  • UNISEの全課程は,毎年1月と2月に国内外のメディアによって広告募集される。しかしながら,いくつかの課程は,年間を通して広告応募される。
  • オンラインでの申し込みは,ウェブサイト(www.unise.com)を通して行われる。これは,非ウガンダ人の志願者には非常に便利である。
  • 志願者は,正式な形で直接出願するか,あるいは各志願者が所属する機関を通して出願することができる。
  • 出願には,関連する成績証明書を添付しなければならない。
  • 必要条件を満たした者は,UNISEのキャンパスでの(文書と口頭による)面接(非ウガンダ人には適用されない)のための選抜候補者名簿に入れられる。
  • 学年は9月から10月に始まる
  • 短期の課程は,3ヶ月毎に公募され,将来性のある学生が招かれ,就学のための選抜がなされる。
  • 結論

    UNISEとキャムボゴ大学で訓練を受けた学生は,障害や特別なニーズをもつ全ての子どもや大人を支援でき,また,地域社会の生産的な一員としての、地域社会へのインクルージョンを当然の権利として促進する。

    このような学生たちは、以下の知識,理解力,技術を備えている:

    我々が準備する教師や職員は,知識が豊富で,柔軟性があり,創造性が豊かで,技術があり,忍耐強く,寛容で,メインストリームの学級,学校,地域において、特別な教育ニーズをもつ全ての学習者を教育するという基本原理の実現のために献身的に働く。

    現在4000人以上の教師とその他の職員が,delivery(通信教育)という従来の制度を通してUNISEから資格を与えられている。現在2000人以上が遠隔地教育(通信教育)によって訓練中であり,4000人以上の教師やその他の職員が特別な教育的ニーズについてのワークショップや短期課程に参加している。

    本論文では,メインストリーム学校における全て子どもたちのニーズを応じるために、ウガンダでは人材がどのように育成されているかを示すことを試みた。将来的には、各小学校に、少なくとも1人の訓練された教師を供給することが目標となる。

    (訳:鳥山由子)

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