UNICEF理事長よりの返信

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前掲書簡に対するベラミーUNICEF理事長からの返信は下記のとおりである。

親愛なるキャンベル会長:

UNICEFの障害児対応に関するご書簡拝受いたしました。小職は本件に関するUNICEFの公約はゆるぎないものであり、事実、最近数年にはさらに強固なものとなっておりますことを申し上げたく存じます。

貴殿のご憂慮はUNICEFの管理部門の組織変更案に起因しているものと理解いたしますが、今回の変更は児童の権利保護、さらには障害児への関心を強化こそすれ弱体化させるものではないことをここで確認させていただきたく存じます。UNICEFでは昨年度、7箇所の地域事務所に担当の児童保護アドヴァイザを任命しております。これら担当者の任務は、地域内各国の事務所に対して、これらの問題に関する上位レベルでの指導を行うことであり、ニューヨークの例で申しますならば障害に関する問題に関する専門の責任者が配置されており、以前よりもさらに高位の人材を当てております。障害児童に関連するUNICEFの全プログラムに関してはアレクサンドラ・ユスターが貴殿ならびに貴組織のご担当各位との窓口を担当いたします。なお同氏の連絡先は [email protected], あるいは電話212−326−7232でございます。

差別の解消は児童人権会議における重要な指導理念のひとつであり、また我々の任務遂行の指導原則でもあります。さらに、同会議およびUNICEFはその行動目標のなかで障害を有する児童に関して我々の公約として“最も不利益をこうむっている子供、すなわち戦争、天災、極度の貧困、あらゆる暴力と搾取の犠牲者、および障害を有する子供に対する特別の保護を実現する”ことをあげております。

UNICEFが地域社会、国、および地球規模の各レベルのパートナーと協力実施しております活動は障害の防止、すなわち母体保護ならびに出産時ケアの改善、予防注射対象の拡大、暴力と武装紛争からの保護を目的とした介入など広範囲にわたっております。また同時に我々は障害を有するものに対する差別の防止に対しても努力を重ねており、すべての子供たちが基本的な社会サービスを利用でき、暴力、虐待、搾取から保護され、理解とインクルージョンによって彼らの存在が受容される環境で発育することを目指しております。

近年、我々は児童保護に関する公約をさらに強固なものにし、障害を持つものを含む児童の人権が巧妙な手法で侵害されることの防止と対応に勤めてきております。この活動においては、単に防止あるいは保護の努力が失敗した結果の後追いではなく、子供たちの保護を実現するのに不可欠なすべての要素を検討する方法によっております。これによって我々の活動対象は政策立案の高度なレベルにおよぶこととなり、児童の保護と国家および国際レベルの開発目標間の連携を強調することが以前にもまして可能となりつつあり、さらに児童保護の諸問題をより広範かつ効果的で長期にわたる対応として捉えられる頻度も増加しております。

我々は貴組織との協調関係を尊重し、障害の防止と障害を有する子供に対する差別解消のための闘争が従前にも増してUNICEFの重要な活動の部分であることをお伝えいたしたく存じます。

キャロル・ベラミー
理事長

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