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地域別活動報告

ICEVIは基本的な考え方として各地域別の行動に焦点をおいていますが、昨年度の活動を見ましても、その戦略どおり、7つの地域別部会はひきつづきそれぞれ活発な活動を展開しました。最近6ケ月のあいだに実行された地域活動について概要をご報告します。

2003年、南アフリカのステレンボッシュで開催された南部アフリカ小地域部会(サブリージョン)の会合が成功裡に終わったことを受けて、アフリカ地域部会ではそのほかのサブリージョン内各国でのネットワーク作りに着手しています。西アフリカ地域では、ガーナのアッカラで会合が開かれ、各国間の関係の緊密化が推進されましたが、この会合は同時に国際的な非政府機関諸団体の協力の実態を広く知らしめることでも効果的であったと思われます。同地域ではリー財団の支援を受けた各種のプロジェクトを実現に移すほかにも、他の先進的な資金援助団体間の連携を深めるためにICEVIは活動しています。地域議長団および小委員会はヒルトン・パーキンズプログラム(Hilton Perkins Program)、バルティミューズ(Bartimeus)、フォース財団(Force Foundation)などと連携してICEVIの提唱するプロジェクトへの共同出資についての話し合いをすすめています。CBMおよびSSIはすでにICEVIとの連携活動をすすめており、アフリカ地域で視覚障害児童の教育機会拡大に関して大きく貢献することが期待されます。アフリカ地域議長と事務総長は2003年12月にケニアのナイロビで会合し、今後2年間の地域戦略についての戦略をまとめあげましたが、それによればアフリカ地域では活動の焦点を各国政府に働きかけ、全般的教育制度のなかに視覚障害を持つ人たちの教育サービスを包含するよう説得するための協力におきます。しかし52ケ国を含むという地域の広域性を考え、数ケ国ごとに段階を踏んで集中的な活動を展開してその結果をほかの地域に漸次波及させ、一方では刊行物などを通じて全地域に問題意識を高めていくという方法が提案されています。

東アジア地域部会は地域委員会を2003年夏、マレーシアのクアラランプールで開きました。地域での活動は同年全般に発生したSARSの影響で停滞を余儀なくされましたが、2003年の後半にはふたたび活発化しました。東アジア地域で行われた全地域データベースの改定は各国代表の支援を受けて成功裡に終わりました。また、富裕国による発展途上国への支援が不可欠であるとの認識に立ち、香港、マレーシア、シンガポールおよび日本からなるタスクフォースを結成し、地域内の各国特にミャンマー、東ティモール、ラオスおよびカンボジアにおける教育事情の実態を調査することになりました。中国ではリー財団からの支援を受けるプロジェクトに加え、教育省と協力して地域の視覚障害児教育に関して7種の本を刊行する計画です。東アジア地域総会は2004年11月29日から12月1日までバンコクで開催される予定で、ICEVIタイネットワークがホストを務めることになっています。このほか、各国代表にICEVIの国内ネットを通じてサーベイを行い、教育支援を必要とする視覚障害者を特定するよう、呼びかけています。第12回ICEVI世界会議の開催地がクアラランプールであることとあいまって、東アジア地域は各国の注目を集めているといえます。

ヨーロッパ地域部会は独自のウエブサイトを通じて教育関係者、両親およびそのほかの視覚障害関連の専門家や組織にICEVIの購読会員になるよう呼びかけを行っています。視覚障害者支援に携わっている組織あるいはフィールドのスタッフの国際会議がドイツ、ドルトムント大学で行われ、ヨーロッパ17ケ国から900人におよぶ出席者がありましたが、ICEVIもこれに参加しました。この会議において、2004年中に地域でトレーニングセミナを開催するということが議題にあがり、そのための会合がありました。また2005年に開催が予定されているヨーロッパ地域総会のプログラム委員会は第二回の会合をこの国際会議期間中に開催しています。同地域では最近ニューズレターを刊行し購読の受付を行っています。また地域議長はONCEの国際活動責任者であるラファエル・ゴンザレス氏と意見を交換しましたが、同氏は席上、ヨーロッパ地域部会のスペイン語地域における活動を賞賛されたということです。

ラテンアメリカ地域部会では戦略計画のスペイン語版を刊行しましたが、これと平行してスペイン語によるICEVIウエブサイトもほぼ完成に近づいています。ラテンアメリカ地域では5つの小地域部会と“早期導入”“低視覚者対応”“複合障害者教育”という3つの専門グループを通して活動をしています。この地域でリー財団の支援を受けているプロジェクトはすべて順調に推移しています。またICEVIはラテンアメリカ全域にわたって活動しているCBMの多くのプロジェクトに共同出資をしています。地域にある27のワークショップ活動にくわえて、CBMとICEVIが共同で組織した“早期導入に関する小地域部会会議”の提唱する制度およびコースを評価する会合が2003年10月、ボリヴィアで共同実施されました。この会合に参加した専門家、両親、および地域のメンバーの数は300人におよびます。ICEVIの幹事会は2004年11月、コスタリカで開催される見通しです。この会合はICEVI小地域部会会議と同時で、この会議では何人かの幹事から論文の発表があることになっています。

北アメリカ・カリブ海地域部会は2003年5月および10月にテレコンファレンスを通じて地域のICEVIの活動についての討議を行いました。またカスリン・メアリ・ヒューブナ博士が地域の副議長に就任しました。地域部会では、域内の教育計画立案や内容の拡大などについて、カナダ国立盲目者協会(Canadian National Institue for the Blind)、ペンシルヴァニア検眼専門学校(Pennsylvania College of Optometry)、カリブ盲目者会議(Caribbean Council for the Blind)、リチャードフェインブルーム視覚機器社(Richard Feinbloom Designs for Vision Inc)などと協力関係をむすんでいます。またスーザン・ラヴェンチュラ博士はカナダ国内で視覚障害児童を持つ両親の声をまとめる団体の創立を支援しましたが、同博士はICEVIにあって両親の行動部会(Parentsユ Movement)の主なコーディネータのひとりであるとともに米国に本部を置く国立視覚障害児童両親協会(NAPVI)の専務理事をつとめています。また、ペンシルヴァニア検眼専門学校では現在、ベラウス、エジプト、エストニア、パレスチナなどからの学生が教育を受けています。またICEVIはこの地域で2003年12月4日から6日まで、カナダ、バンクーバーで開かれた、“読み書きをはじめよう”運動の会議に参加しましたし、2004年7月、フロリダ州オランドで開催されるAERBVI国際会議でも中心的な活動に参画します。さらに同地域部会は米国と中国の間で開催される、特殊ニーズを有する学生の教育に関する会議にも参画を希望していますが、この会議は2004年6月17日から17日まで、中国北京で開催されるものです。このようにこの広大な領域にまたがる地域部会はメンバー諸国全般に活動を拡大しつつある最中だということが言えるでしょう。

太平洋地域部会は南太平洋地域視覚障害者教育会議(South Pacific Educators of the Visually Impaired, SPEVI)と積極的な協力をしており、SPEVIのニュースラインはICEVIウエブサイトの太平洋地域ページに転載されます。またICEVIは2005年に予定されているSPEVIの会合で活動に関する紹介を行うことになっています。

西アジア地域部会は地域総会をネパール、カトマンズで2003年9月30日から10月1日に開催。同会合では、地域内のほとんどの国がリー財団の支援を必要としていることが確認され、また各国政府に対して視覚障害児童の教育を一般教育の仕組みに包含するよう働きかけることが決議されました。また地域部会議長はインド政府が2003年10月に実施した国家レベルでの諮問会議に参加、琵琶湖ミレニアムフレームワークに関する建議に参加しました。同地域での総会を2005年前半、ネパール、カトマンズで開く予定をしています。旧中東地域部会に参加していた国々の多くは現在、西アジア地域部会のメンバーとなりましたので、地域部会議長はICEVIのネットワークを設立するため、これら諸国と連絡を取り合っています。

(訳:中司 恭)

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