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世界盲人連合会長からのメッセージ

エデュケータ誌を通じて、また皆さんとお会いできることは私にとって大変うれしいことであります。しかし私にとって最近数ケ月は、正直に言って大変な時期でした。と申しますのは、あまりに多くの活動が世界中で展開されたからです。

まず私は2003年9月、ソフィアで開催された世界盲人連合理事会に出席され、貴重なご意見を頂戴したICEVIのラリー・キャンベル会長に感謝いたしたいと思います。先に成功裡に完成したICEVI・WBU共同作成による“視覚障害児童のインクルーシブ教育”行動計画書に引き続き、両組織はふたたび共同作業として点字教育、歩行訓練、技術、教師育成などについて包括的な教育に関する基本方針を作成しました。ICEVIの役員の皆さんがこの方針を支持され、2004年2月開催のICEVI執行委員会に提出の運びとなったことは大変うれしいことであります。またWBUでは2004年5月、カメルーンで開催される役員会にこの方針を付議することになっております。

また、私はICEVI役員会の議事録を拝見することができましたが、すべての視覚障害児童に関する教育を2015年までに完成させようとする将来像白書のICEVIでの開発プロセスにICEVI-WBU共同の行動計画書の主要部分を反映させようとしておられることを知りました。私としてはこれに過ぎる喜びはないともうしあげます。この白書の完成と、そして盲人を支援しようとする政府や関係団体がすべての視覚障害児童の教育について、このゴールの達成を確約してくれることを心から願うものです。

エデュケータの今号は人材開発をとりあげています。視覚障害を持つ人々を支援するためにはふさわしい人材の確保がきわめて重要であることは論を待ちませんし、そのためには質の高いプログラムを用意して、教師が適切な対応ができるようにしなければなりません。また、そのための特別なプログラムのほかにも、一般教育の制度のほうにも特別な教育要素を盛り込むような改革が必要です。なぜなら通常の教育課程を教える教師たちが視覚障害児童のインクルージョン実現に重要な役割を果たすからです。開発途上国においては、教師養成について費用効果比の高い手段を考え、かつオープンスクール、遠隔教育などの代替手法による人材確保を行わなければなりませんが、残念ながら多くの開発途上国においては遠隔教育などの前にまず基本的なインフラストラクチュアを建設することが優先せざるを得ません。この意味では、ICEVIとハドレー盲学校とが協力して遠隔教育のコースを提供するというのは時期を得た措置であり、教師、両親、視覚障害者すべてがこの方策から利益を受けることだろうと確信いたします。

ICEVIとWBUとが地球規模においても地域レベルにおいても協力するという体制は、身体障害者問題の優先度を高め、開発途上国における数多くの視覚障害児童がこれからの10年間に教育のしくみに取り込まれるよう、政府機関や大規模教育制度に対してはたらきかけるには十分かつ強力なものとなるでありましょう。

(訳:中司 恭)

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