「ベストな実践」のためのICEVIの戦略的行動計画の一環としてICEVIはウガンダ研究を開始した。これは全ての盲あるいは弱視の子どもたちが地域の初等学校で学べるようになるためには何が問題なのか、そのキーとなる条件を明確にするための研究プロジェクトである。
これは2つの前提条件を検証するための実証研究でもあった。第1の条件は視覚障害を持つ子供たちも健常の子どもと同等の条件で教育を受ける権利を等しく有するというものである。第2は、地域の初等学校に通うことが多くの視覚障害を持つ子供たちにとってその教育の機会を最大に広げるものであるという2点である。
決定的な(事態を決めている)要因とは何なのか、これを明らかにするために研究チームは分析の様々なレベルにおいて問題となっているものを探し求めた(検討した)。検討されたものは、子どもの個人的要因、クラス環境、学校環境、家族、地域社会、支援サービス体制、政治的・政策的要因などの諸要因である。
ICEVIの研究チームはこの研究をウガンダのカンパラにあるsight saverと密接に協力しながら実行した。データ収集に関しては、国立ウガンガ特殊教育研究所のAsher Bayo講師がコーディネーターとなり、本研究のために特別に研修を受けたスタッフによって行われた。研究チームはこの研究のデータ収集のための機材を特別に開発し、データの取り方の研修をカンパラで募集された現地スタッフ8名に2003年の12月13・14日の両日に行った。これらスタッフの仕事のひとつは、それぞれが近隣地域の学校からデータ集めを請けおってくれる教師2名ずつをリクルートすることであった。サンプルの抽出に当たってはウガンガの各地域を代表するように配慮された。本研究では創発的(emergent)研究デザインが取られたと同時に、参加型アプローチ(participatory approach)が採用された。これらは研究の段階段階において得られた知見の妥当性の検討に用いられた。研究の途中で得られた予備的知見は研究資金の出資者や研究者に順次公開される予定で、彼らからのフィードバックが研究をさらに精緻なものにしてくれることが期待される。研究の予備的データ・速報結果については2004年2月から一般に利用できるであろう。
この研究からは政府の政策として何を行うのが最も効率的なのかというファクターが見い出されることが期待される。そしてそのファクターは、視覚障害を持つ子供たちの教育への均等参加を促進するための活動をしている各種の国際NGOやNGOといった団体の取り組みを後押しするようなファクターでもあることが期待される。また研究から得られるデータはウガンダ中の学校がその哲学・方針として、また実践としても視覚障害をもつ子どもたちの教育の機会を増進する方向で活動しやすくなるようなものとなることが期待されている。
ウガンダ研究の成果をベースとして、次の4年間にはアフリカのその他の国々や世界の他の地域でも研究が引き続けられていくことであろう。
研究が緒にこぎ着けたことはICEVIの努力のたまもので、これは発展途上国の視覚障害を持つ子供たちに教育サービスを広げるという長期にわたる目標に取り組んできたことを意味する。研究の道のりは長い。しかし確実に第1歩は踏み出されたのである。
(訳:加藤 宏)