インクルージョン:ペルーにおける視覚障害者教育の発展
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ペルーの文部省はインクルーシブ学校を設立する計画の一環として、特殊教育を必要とする子供たちを通常の学校で受け入れることを奨励してきた。この流れを調整する法律(法令23384、法令27050)が存在するが、実施の速度は遅い。遅い要因は下記の通りである。
- 教育に携わる専門家の社会的・経済的地位が比較的低いため、仕事を続け、変化に対し広い心を持ち続けることが困難。
- 視覚障害者の可能性に対し期待感が低く、差別意識がある。
- ペルーの中央集権型システムは教育分野の専門家が新しい技術を取り入れ、実施することに排他的である。
- 地域ごとに地形や地質が異なっている
文部省がインクルージョンの目的に向かって活動していること、視覚障害をもつ学生のインテグレーション/インクルージョンに賛同していることを強調するのは重要である。
インテグレーション/インクルージョンを推し進めていることのちょうど良い例はラマ市にあるC.E.E(特殊教育センター)「サン・フランシスコ・デ・アシス」である。同センターは20年以上活動しており、良い結果を多数生み出している。その活動は以下の幅広い戦略をもとに行われている。
- 各生徒の長所・短所を把握し、よい良い支援を与えるための包括的アセスメント・サービス(心理学、視機能および教育学)
- 通常の学校教員に対する訓練の実施。この訓練は学校に勤務する全ての専門職員、特に視覚障害をもつ生徒の教育に直接携わっている教員に提供するものである。
- 感作−視覚障害者のニーズはシミュレーション技法と事例研究によって検討される
- テクニカル・オリエンテーション−カリキュラムに対するアドバイス、アクセス、教育技術、学習の展開と評価。
- 視覚障害をもつ生徒に関する認知発達、行動発達、社会開発の情報の紹介
- 巡回教師による通常の学校に対するフォローアップと支援。巡回教師はサポートを調整し、教員の質問に答え、教材を吟味し、そろばんや2級点字などの特殊技能を生徒に教える。また、子供たちには家で日常生活技術や方向・移動を教える。
リソース・センターでは特殊教員が、多くの場合、高校生に学校では学ぶことができない数学や英語の補習を行う。この2つの教科にはテープ教材が使われる。小学校の生徒が事前に保護者や教師に許可を受けて、土曜日に学校に通い数学やコミュニケーションを学ぶケースもある。
- 印刷された文字から点字への変換、触読図や浮き出し教材の用意。これらは通常の学校の教員や保護者たちには準備することができない。
出席/参加
毎年プログラムに参加する生徒の数は増加している。現在リマ市やカリヤオ市の26地区から平均45人が参加している。チームは巡回教師5人、コーディネイター1人、それにリソースセンターで全面的なサポートを担当している専門家から構成されている。
費用
巡回教師が各地の通常の学校に通うには交通費がかかる。その費用はサン・フランシスコ・デ・アシス学校、CBMに通う生徒の保護者からの寄付により支払われる。
結論
特殊教育センター「サン・フランシスコ・デ・アシス」(Surco-Lima)は、保護者の協力、通常学校の教員の協力、インクルージョン/インテグレーションチームの支援により大いに発展している。しかし、通常の学校の教員や一般社会は、視覚障害者のための教育における一つの選択肢としてのインクルージョンを強固にするために、もっとやることがあると思う。
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