読者の皆様
エデュケータ誌を通じて皆様とお会いできることを大変うれしく存じます。すでにご承知のとおり、ICEVI,WBI共同作成の“視覚障害児のためのインクルーシブ教育行動計画案”が承認されましたが、私のところには世界各地から、この計画案が2015年までに、すべての視覚障害児の教育を実現するという、われわれのキャンペーンを強化するだろうという励ましが届いております。私自身は2003年3月の南アフリカ、ステレンボッシュでのICEVIの役員会に出席させていただき、数多くの開発計画の存在を知って大変感動いたしました。またICEVIが開発途上国で、主に視覚障害児にたいする教師の能力開発にあたる100になんなんとするプロジェクトを推進するということを知って大変うれしく思っております。これらはリチャード・チャールス博士、エスター・ユーピック・リー基金そのほか多くの財団の援助を受けたものです。視覚障害児の教育において教師の果たす役割はきわめて重要なものでありますから、ICEVIのこれらの活動によって教育の品質は一段と高まってゆくことでしょう。またICEVIは、視覚障害児の一般学校へのインクルージョンを成功させるに必要な重要な要因に関する研究をウガンダで開始されていますが、これは開発途上にある国々がダカール宣言で規定された、教育機関の使命を果たすためのガイドラインの役割を担うでありましょう。視覚障害児教育の範囲と品質の問題に取り組んでいるICEVIのこのような努力に深く敬意を表したいと思います。
このICEVIの役員会の席上、ICEVIに対して、WBUの児童問題委員会にメンバーを参加させていただくよう要請いたしましたところご快諾を頂き、すでに3人の方々のご参加がきまりました。これらの方々とWBUのメンバーは協力して委員会の行動計画作成にあたることになります。また、ICEVIからは、身体障害者の人権に関する国連会議についてもご支援をいただいていることに感謝いたします。
さきにUNICEFが障害者担当局を閉鎖するとの通知を受け、WBUは障害者の立場からICEVIとともに、UNICEFに対し、再考を求める文書を送りました。幸い、UNICEFからは障害を持つ子供たちへの責任を後退させるものではない旨の返書が届きましたが、これもICEVI,WBUがあい携えて共通の弱者擁護の課題に取り組んだ結果のひとつであると考えます。
さてエデュケーターは本号でインクルージョンの特集を組んでいますが、私はインクルージョンということを、単に視覚障害を持つ子供を支援するためのメソドロジーとして捕らえるのは間違いだと信じております。この考え方は、我々の子供たちのニーズに対してより深い関心を持ち始めた教育制度全般の変革というべきものであります。この意味で、ICEVI,WBUはともに、教育の政策立案者に向けて、視覚障害およびそのほかの障害を持つ子供たちにとって必要なことは何かということを発信し、理解させるというきわめて重要な役割を果たすものだといえます。私はICEVIが、すでに我々の共同になる計画書を教育政策立案当局に送付されているということを聞き、非常にうれしく思っております。我々が次になすべきことはこの政策を行動に移すことであり、その意味でICEVI,WBUの間の協力関係を地域、国家レベルで世界中に拡大していくべきときが来ていると感じております。