視覚障害児のインクルーシブ教育に関するICEVIおよびWBU合同活動計画書
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前文
視覚障害教育国際会議(International Council for Education of People with Visual Impairment, ICEVI)は世界の視覚障害児・者の教育者を代表する個人および組織の、自発的、非政府、かつ非宗教の地球規模の連合体である。
ICEVIはすべての視覚障害児・者に適切かつ高品質の教育機会を平等に与えるための諸活動を推進する。
世界盲人同盟(World Blind Union, WBU)は世界158ケ国に存在する約600の組織に所属する、1億8千万人におよぶ視覚障害者を代表しうる唯一の組織である。WBUはインテグレートあるいはインクルーシブな方式もしくは特別学校方式を通じて、視覚障害を持つ児童ならびに青年が、可能な範囲で最良の教育を受け、自己の能力を最大限に発揮できる人生を送ることができるため高品質の教育を推進する。この高品質の教育を実現するための基本原理は、両親が選択肢を決定するために必要な情報、訓練を受けた教員へのアクセス、必要不可欠な教材教具の提供などである。
ICEVIとWBU
われわれは、視覚障害児・者に対する教育機会に関して重大な不平等が存在することを認識する。これらの不平等は特にアフリカ、アジア、ラテンアメリカ地域の開発途上国において著しく、その地域には該当する児童の90パーセントが居住しているにかかわらず、公式、非公式を問わず、現時点で教育機会に恵まれているものは10パーセントに満たない。
- 盲および低視力の児童が適切かつ高品質の教育機会に恵まれる権利を有するとする児童人権会議(Convention on the Rights of the Child, 1989)、教育機会均等宣言(World Declaration on Education for All, 1990)、障害者機会均等標準規則(Standard Rules on the Equalization of Opportunities for Persons with Disability, 1993)、ユネスコのサラマンカ行動フレームワーク(Salamanca Statement and Framework for Action)およびダカール行動フレームワークを支持する。
- 現時点で行動を起こしていないすべての国の政府に対して、それぞれの教育計画書に視覚障害を持つ児童が有する特別の事情を反映することを主張する。この計画書は2000年4月の合意および確約に基づき、2002年末、ユネスコに提出された、教育機会均等2015年実現宣言(Education for All by 2015)の達成のために作成されるべきものである。
- また、すべての国の政府に対し、視覚障害児に関する前記諸活動を成功させるため、適切な財政的支援をすることを要請する。
- 1994年のサラマンカ行動フレームワーク特別教育条項で宣言された、児童優先教育思想を推奨する。
- 教育サービスの提供形態のひとつとしてインクルーシブ教育を支援する。ただし、第一に視覚障害児の持つ特別なニーズに関して訓練を受けた教員が必要数投入されること、基本的な支援システムがあること、必要な機材および点字形式の書籍、さらに低視力者向けの各種機器が備えられることが前提とされる。
- インクルーシブあるいはメインストリーム教育が採用できない場合には特殊学校における高品質の教育を推進する。
- さらに、インクルーシブ、メインストリーム、および特殊学校教育が機能しない場合には、公式、非公式を問わずそれらに代わる価値を有する教育の継続的支援を薦めかつ擁護する。
- 両親とその他の家族およびコミュニティ全員の協力のもとに、早期発見、早期指導、就学以前の対策を行うことを奨励する。
- 共同あるいは単独の最大限の支援について、政府機関に対して、特に問題の認識と擁護、専門的アドバイス、技術的補助に関して保証させる。
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