UNICEFが執行した組織変更によって、活動の焦点が障害を持つ児童という特定されたものから“児童保護”という一般的なものに変わってしまい、その結果、視覚障害を持つ子供たちへの支援に悪影響が出るのではないかという懸念が生じたため、ICEVI会長はUNICEF理事長に当ててその真意を正した。その書簡は以下のとおりである。
2003年4月17日
ニューヨーク州ニューヨーク
ユナイテッドネーションズプラザ 3番地
UNICEF 理事長
キャロル ベラミー殿
親愛なる ミズ・ベラミー:
本書簡は視覚障害者教育国際会議(International Council for Education of People with Visual Impairment, ICEVI)会長から貴殿にお送りするものであります。ICEVIは視覚障害を有する児童および青年に対する適切な教育の均等なる施行を推進せんとする個人および組織の世界規模の団体であります。
視覚障害を有する児童および青年の教育に関心を有する4000を超える個人および組織を代表して、小職は今回の貴組織における障害者担当局(Focal Point on Disability office)を閉鎖して、児童保護プログラムへ統合するというご決定に関して重大なる関心を持つものであります。
ご高承のとおり、障害を有する児童特有のニーズは膨大であるにかかわらず、その多くにはしかるべき対応がなされておりません。視覚障害を有する児童について申しますと開発途上国においては、何らかの教育機会に恵まれているものは全体のわずか5%に過ぎないことが我々の調査で明らかになっております。今回の変更においてはこれらの児童もまた貴児童保護プログラムの対象とされるご計画であろうとは存じますが、我々の経験によれば、そのような場合、統合は常に同一の結果しかもたらしておりません。すなわち、障害者が有する特定のニーズは消滅してしまうということであります。しかし障害を持つ児童、特に視覚障害を持つものは特有の問題を有し、その解決には独立した戦略を持って当る必要があると我々は確信しております。
ICEVIの世界各地の支部におきましてもUNICEFとの緊密なる協調関係の継続を強く望んでおりますが、今回の障害者担当局閉鎖のご決定が両者共有の基盤をゆるがすだけでなく、600万人を超える視覚障害児に接触する機会を減少させることを憂慮しております。さらに申せば、その90%は開発途上国に居住しているのであります。
以上の観点から、障害者担当局閉鎖に関する今回のご決定をご再考いただきたくお願い申し上げます。
会長 ローレンス・F・キャンベル
写し:理事会 UNICEF NGO委員会